夏の思い出
浴衣に似合わないへこんだおなかで
無駄に胸元が肌蹴てしまう細身の浴衣姿。
青い鼻緒の下駄をからからさせて
あなたは駅へと向かう。
私の手を引いて
私の歩幅に合わせて。
大きな花火が上がって
もうすぐこの季節も終わりだと告げる
残る火薬の匂いに
またあなたは私の手を引く。
からからと下駄の音がする。
離れないように、はぐれないように
風呂敷包みを抱えて
私の手を引いていく。
こんな夏がもう6回過ぎた。
歩いているうちに肌蹴てしまった
へこんだお腹の浴衣姿。
2両単線の小さな電車に乗って
元来た駅へと戻る。
青い鼻緒の下駄を
からからと音をさせて。
手を離さず夜道を歩いて
今宵も同じ家へと帰っていく。
毎年変わらない、夏の思い出。




